日本に長く住んでいる外国人の方の中には、「そろそろ帰化して日本国籍を取得したい」と考える方も少なくありません。しかし、帰化申請は一朝一夕にできる手続きではなく、準備や審査にも時間がかかります。
この記事では、帰化申請を思い立ってから、実際に日本国籍を取得するまでの流れを、行政書士の視点から丁寧にご説明します。
1.帰化を考え始めたら ~最初に確認すべきこと~
まず、帰化申請をするにはいくつかの法的要件を満たしている必要があります。日本の国籍法では主に以下のような要件が求められます(一般的なケースの場合):
- 引き続き5年以上日本に住所を有すること(住所要件)
- 18歳以上で本国法上も成人していること(能力要件)
- 素行が善良であること(素行要件)
- 生計を立てられる資産または技能があること(生計要件)
- 日本国籍取得によって二重国籍とならないこと(重国籍の禁止)
状況によってはこれらの要件の一部が緩和される場合もありますが、まずは自分が帰化要件を満たしているかをしっかり確認する必要があります。
→行政書士への初回相談の段階で、ヒアリングと必要書類チェックを行い、申請の可否を見極めます。
2.必要書類の収集 ~国内と本国の書類が必要~
帰化申請の準備で最も労力がかかるのが「書類の収集」です。
主な書類は次の通りです:
- 日本での生活を示す書類(住民票、課税証明書、納税証明書、在留カードなど)
- 本国に関する書類(出生証明書、親子関係証明書、婚姻証明書など)※翻訳が必要
- 仕事や収入に関する資料(勤務先の源泉徴収票、給与明細、自営業者の場合は確定申告書など)
- 居住歴、学歴、家族構成などを記載する帰化申請書類一式
国によっては出生証明書や婚姻証明書の取得に時間がかかるため、早めの準備がカギになります。また、日本語への正確な翻訳も必要です。
→行政書士に依頼することで、必要書類のリスト化や翻訳、取り寄せのサポートを受けられます。
3.法務局への事前相談 ~予約制で面談が必要~
必要書類の収集と準備が進んだら、帰化申請を行う予定の法務局(地方法務局・支局)へ事前相談の予約を行います。法務局では、面談形式で以下のようなことが確認されます:
- 帰化要件を満たしているか
- 提出する書類の内容や不備
- 日本語能力のレベル
- 家族構成や生活状況
この段階で、法務局から追加資料の提出を求められることも多く、1回で終わらないこともあります。
→行政書士が同行すれば、専門的な説明がスムーズに行え、必要なフォローアップも的確です。
4.正式な帰化申請 ~書類提出と本人署名~
すべての書類が整い、法務局の担当者から「提出可能」と判断されれば、正式に帰化申請を行います。ここでようやく、「帰化申請書一式」が法務局に提出されます。
5.審査期間と追加調査 ~半年~1年ほどが目安~
帰化申請の審査は、提出後すぐに終わるものではありません。一般的に半年から1年程度を見込む必要があります。審査では、以下のような確認が行われます:
- 日本での生活状況の実態(家庭訪問や電話確認あり)
- 収入や職業、納税状況
- 日本語能力(会話・読み書きの理解度)
- 本人の思想や社会観(特に重大な違法行為歴などの有無)
また、審査中に追加資料の提出を求められたり、再度面談が行われることもあります。
6.結果の通知と官報告示 ~日本国籍の取得へ~
審査に通過すれば、最終的に法務大臣の許可が出され、「帰化許可通知書」が交付されます。その後、官報での告示を経て、正式に日本国籍を取得したことになります。
ここからは次のような手続きが必要です:
- 日本の戸籍への編入(帰化者新戸籍の編製)
- 本国籍の離脱手続(必要に応じて)
- 運転免許証や健康保険などの名義・国籍変更
→行政書士が取得後の手続きについてもアドバイス可能です。
まとめ:帰化申請は「準備」と「継続」がカギ
帰化申請は、思い立ったその日からすぐに終わる手続きではありません。書類の準備や法務局とのやり取り、審査対応まで、長期戦を覚悟する必要があります。
しかし、その一つひとつのステップを丁寧に踏んでいけば、日本国籍の取得という目標は確実に近づいてきます。行政書士に依頼することで、複雑な手続きのナビゲートを受けながら、安心して帰化申請を進めることができます。
「帰化しようかな」と思ったときが、第一歩を踏み出すタイミングです。ぜひ、お気軽にご相談ください。
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