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生きているうちに相続を済ませたいけど、どうすればよい?

back view of a man and little boy sitting near a body of water

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~行政書士が解説する生前相続の方法と注意点~


はじめに

相続という言葉を聞くと「まだ自分には関係ない」と思う方も少なくありません。しかし、実際に相続が発生すると、想像以上に手続きが煩雑で、家族が大変な思いをするケースが数多く見られます。

特に近年は、遺産分割をめぐって親族間で争いが起きる「争族(そうぞく)」が社会問題化しており、事前に相続対策を行う方が増えています。その中で注目されているのが、「生きているうちに相続を済ませてしまう」=生前相続です。

しかし一方で、

といった疑問を抱える方も多いでしょう。

本記事では、行政書士の立場から「生前相続」の基本知識、メリット・デメリット、向いている人の特徴、そして実際の手続きや注意点について、法律や税金の観点も含めて詳しく解説していきます。

生きているうちに相続を済ませるとは?

まず最初に申し上げますが、「生前相続」という言葉はありません。法律上「相続」とは、人が亡くなった瞬間に開始するものです。つまり、厳密に言えば「生きているうちに相続をする」ことは不可能はわけです。

ただ、近年では様々な理由から生きているうちに相続を済ませて(厳密には相続ではありませんが)安心したいという方が増えているように感じられます。やり方としましては

このような準備をしておくことで、相続発生後のトラブルや税金の負担を大幅に軽減できる可能性があるのです。

生前相続を済ませた方がいい人とは?

生前相続はすべての人に必要なわけではありません。しかし、以下のようなケースでは特に検討すべきでしょう。

1. 相続人が複数いて仲が悪い、または揉めそうな場合

兄弟姉妹の仲が悪い、後妻と前妻の子どもがいるなど、家庭環境に不安がある場合は要注意です。生前に分け方を決めておくことで、争いを防げます。

2. 財産の大部分が不動産の場合

土地や自宅などは現金のように簡単に分割できません。売却か共有かで相続人が揉めることが多いため、事前の調整が欠かせません。

3. 相続税がかかりそうな人

相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。財産がこの金額を超える場合は課税対象となるため、生前贈与などによる節税を検討すべきです。

4. 事業を営んでいて後継者がいる人

中小企業の株式や事業用資産を誰に承継させるかを決めておかないと、会社経営が立ち行かなくなる恐れがあります。

5. 認知症のリスクを心配している人

判断能力を失うと遺言書も作れず、贈与契約もできません。元気なうちに準備しておくことが大切です。

生前相続の主な方法

1. 生前贈与

2. 遺言書の作成

3. 家族信託(民事信託)

高齢になって判断能力を失った場合でも、財産を管理・運用できる制度。特に認知症対策として注目されています。

4. 生命保険の活用

生命保険金には「法定相続人1人につき500万円までの非課税枠」があります。相続税対策だけでなく、現金をすぐに準備できるメリットもあります。

生前相続のメリット

  1. 相続争いを防げる
  2. 相続税の節税が可能
  3. 手続きがスムーズになる
  4. 子や孫が早く財産を活用できる

生前相続のデメリット

  1. 贈与税の負担が重いこともある
  2. 生活資金が不足するリスク
  3. 遺留分侵害の可能性
  4. 税制改正による不利益リスク

法律・税金の観点からの注意点

具体例で考える生前相続

まとめ

「生きているうちに相続を済ませたい」と思ったときに大切なのは、自分と家族の状況に応じて最適な方法を選び、計画的に進めることです。

メリットだけでなくデメリットも理解し、法律や税金の知識を踏まえたうえで準備することが、家族の安心につながります。

相続は一度しか経験できない大切な手続きです。ぜひ行政書士に相談し、安心できる生前相続を実現してください。

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