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【土地オーナー様必見!】建築基準法43条第2項第2号 建築主の探し方と許可取得までの完全ガイド

はじめに

「再建築不可」と告げられた土地でも、条件を満たし適切な手続きを行えば再建築が可能になることがあります。それが建築基準法43条第2項第2号の許可制度です。本記事は、土地オーナーとして――特に初めてこの制度に触れる方に向けて――建築主をどう探し、誰とどのように手続きを進めていけばよいかを具体的かつ実務的に解説します。制度の概要、探し方、実務の流れ、費用目安、トラブル回避策まで、実例を交えて分かりやすくまとめました。

コンテンツ(目次)

建築基準法43条第2項第2号とは?

制度の趣旨

建築基準法43条第2項第2号は、接道義務を満たさない土地についても、地域の実情や周辺環境を考慮しつつ、一定の条件で例外的に建築を認めるための制度です。原則は『道路に2m以上接すること』などの接道条件の遵守ですが、特例的に許可が出ることがあります。

許可が認められる主な判断要素

注意判断基準や運用は自治体により差があります。具体的には市区町村の建築指導課に事前相談を行ってください。

なぜ建築主が重要か

許可申請は技術的説明や将来の影響評価が必要です。単なる書類の提出だけでなく、実現可能な設計と責任体制(施工の担保)が重要視されるため、信頼できる『建築主(実行主体)』の存在が審査通過の大きな鍵となります。

建築主の役割と誰がなれるか

建築主の法律上の位置づけ

建築主とは、建築行為の発意者であり、設計・施工を発注・指示し、工事を完了させる責任を負う者を指します。所有者本人が建築主になる場合もありますし、事業者や施工者が建築主となることもあります。

所有者が建築主になるケースとメリット/デメリット

メリット

デメリット

事業者(施工業者・デベロッパー等)が建築主になるケース

施工会社や共同事業者が建築主となり、資金や施工体制を整えたうえで許可申請を進める方法です。許可を取りやすく、工事の実施までスムーズになる利点がありますが、事業スキームによっては土地オーナーの条件(所有権の移転や収益配分)を十分に検討する必要があります。

建築主の探し方(実践ガイド)

役所・相談窓口の活用法(最初の1歩)

建築士・行政書士に相談して候補を紹介してもらう

不動産仲介・地元工務店への打診

募集・共同事業スキーム(オープンな探し方)

サンプル:施工会社へ送る簡易メール文例 件名:再建築不可物件の共同事業・許可取得のご相談 本文:

  • 所在地:東京都○○区○○
  • 土地面積:○○㎡(接道状況:幅員××m、接道長さ××m)
  • 希望:43条2項2号許可を取得して住宅(木造2階建等)を建築したい
  • 希望条件:設計・許可申請・工事の一括対応 ご興味あれば一度現地をご確認いただけますと幸いです。日程候補を3つ提示ください。

許可取得までの具体的な流れ(ステップ別)

ステップ1:現地調査と役所への事前相談(所要期間:1〜4週間)

やること:現地実測、登記情報の確認、接道状況の精査、周辺建物の状況観察。 チェックリスト(例)

具体例:東京都杉並区の幅員4m未満の路地に面した敷地。現地で道路実測を行った結果、実効幅員が2.9mであり、自治体が過去に類似事例で許可を出していることが分かったため、許可に前向きな設計方針を作成。

ステップ2:設計と許可申請書類の作成(所要期間:2〜8週間)

やること:配置図、平面図、立面図、構造計算や安全性を説明する資料、許可申請書の作成。

書き方のポイント

具体例:建物の出入口を道路の状況に合わせてL字に配置し、搬入動線を確保することで車両通行への影響を軽減する設計を採用。これを平面図・説明書で明確化して申請。

ステップ3:審査・補正対応(所要期間:4〜12週間)

やること:自治体からの指摘に基づく書類補正、追加資料の提出、必要に応じた近隣説明。

よくある補正理由

対応例:自治体から「避難路の幅と動線の追加説明」を求められ、避難時の人の流れを示す図を追加提出して補正完了。

ステップ4:建築確認・着工・完了検査(所要期間:着工〜6か月程度)

やること:許可取得後は建築確認申請(必要な場合)→着工→完了検査を進める。許可条件がある場合は条件に従って履行する。

具体例:許可条件として「道路との境界における移動可能な手すりの設置」「特定の排水処理の実施」などが付けられる場合があるので、設計段階で条件を組み込んでおくと工事段階での手戻りが少ない。

費用・期間・リスクの目安

主な費用項目(概算)

:上記はあくまで目安です。地域や物件の状況、業者によって上下します。

期間の目安

主なリスク

実務上のポイントとトラブル回避

近隣合意の取り方(コミュニケーションの極意)

許可条件の履行管理

許可に条件が付く場合、条件の期限や履行方法を明確化し、担当者(建築主側)を定めて実行管理を行うこと。

売却や資金調達時の留意点

許可を得た場合でも、金融機関や買主が物件をどのように評価するかは個別です。事前に不動産業者や金融機関に相談して、資金計画や売却戦略を立てるとよいでしょう。

事例紹介(ケーススタディ)

事例1:東京都杉並区の再建築不可物件(仮称)

状況:幅員約3mの路地に面した木造一戸建ての敷地。相続で土地を取得したが老朽化のため建て替えを希望。

対応

  1. 役所で類似事例の有無を確認し、事前相談で担当者の見解を引き出す。
  2. 建築士に依頼して敷地の有効利用案を作成(出入口をL字にするなど、通行確保を優先)。
  3. 行政書士が許可申請書を作成し、避難動線・通行影響に関する図面を丁寧に説明。
  4. 自治体からの補正は1回で済み、条件付きで許可が下りる。
  5. 建築主は地元の施工会社が務め、工事〜完了検査までスムーズに進行。

結果:敷地に2階建ての住宅を建築。オーナーは住み替えを実現し、資産価値が向上。

この事例は一般的な進め方を示したもので、個別のケースは地元自治体の判断や現況で大きく異なります。

よくある質問(FAQ)

Q1:所有者が建築主になるのがベストですか? A:一概には言えません。所有者の負担(手続き・工事責任)と、事業者に任せる場合の条件(所有権移転・収益配分)を比較して判断してください。

Q2:許可が下りる確率はどれくらいですか? A:自治体の判断や敷地の状況によるため一概に答えられません。事前相談と現地調査で可能性の高低を評価します。

Q3:近隣の同意は必須ですか? A:必ずしも法的に同意が必要なケースばかりではありませんが、実務上は近隣の反対があると許可が難しくなることが多く、合意形成は重要です。

まとめと次のアクション(相談の進め方)

建築基準法43条第2項第2号の許可は、技術的な説明能力と実行体制(建築主)の提示が重要です。まずは自治体の事前相談と信頼できる建築士・行政書士による現地調査を行い、可能性とリスクを整理してください。

今すぐできる3つのアクション

  1. 現地図面・登記簿を用意して自治体の建築指導課へ事前相談。
  2. 許可実績のある建築士・行政書士へ現地調査を依頼。
  3. 地元工務店や不動産仲介へ声をかけ、建築主となれる候補を探す。

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