
はじめに
「日本人と結婚しているのに配偶者ビザが不許可になった」──
実際にこの状況に直面するご夫婦は少なくありません。
結婚そのものが真実であっても、入管は「形式的な婚姻」や「経済的に不安定な生活」を理由に不許可を出すことがあります。
2025年以降は審査がさらに厳格化し、一度の不許可が将来の再申請にも影響するケースが増えています。
本記事では、行政書士として多くの配偶者ビザ案件を扱ってきた立場から、
「不許可になる理由」と「再申請で成功するための具体策」を、5つの視点で解説します。
コンテンツ
1. 配偶者ビザの基本と審査の本質
「配偶者ビザ=結婚していれば取れる」と思っている方は多いですが、実際には**“実質的な夫婦関係”**が求められます。
入管庁は、婚姻届が受理されているかだけでなく、
- 同居の有無
- 交際の経緯
- 経済的安定
- 日本社会での定着性
などを総合的に審査します。
つまり、配偶者ビザは“結婚生活を証明するビザ”です。
法律婚であっても、生活実態や結婚の真実性が乏しければ不許可になります。
2. 不許可の主な理由と事例
行政書士として見てきた不許可のパターンは、次の5類型に整理できます。
1️⃣ 交際・結婚経緯が不自然
→ 出会いから結婚までの期間が短すぎる、言語が通じないなど。
例:「SNSで1か月後に婚姻届」「家族未紹介」など。
2️⃣ 経済的基盤が脆弱
→ 無職、非正規、貯金不足。入管は「安定した生活」を重視。
3️⃣ 同居していない・住民票が別
→ 「事情があって別居中」としても、実態説明がなければ不利。
4️⃣ 書類に矛盾や欠落
→ 婚姻経緯書・質問書の内容不整合、日付の不一致。
5️⃣ 過去の在留状況に問題
→ オーバーステイ・虚偽申請・不法就労歴など。
多くの不許可は、書類よりも「説明不足」「証明不足」によって起こります。
3. 再申請に向けた「原因分析」と立証書類の整え方
不許可になったら、まずは**「なぜ不許可だったのか」を特定することが最優先**です。
入管から「不許可通知書」を受け取り、内容を行政書士と一緒に確認しましょう。
そのうえで再申請時には、以下のような立証が効果的です。
- 交際履歴の時系列記録
出会い・交際・結婚までの経緯を具体的に。 - 写真・通話・メッセージ記録
家族行事・旅行・食事など“日常”を証明。 - 生活実態の証拠
賃貸契約、公共料金明細、住民票の同居確認。 - 経済証明
課税証明書・給与明細・預金残高。
再申請は「新しい証拠がどれだけあるか」が鍵。
前回の申請資料をそのまま出しても、結果は変わりません。
4. 審査官が重視する「信頼性の見せ方」
審査官は「書類の整合性」と「人間関係のリアリティ」を見ています。
特に次のポイントが説得力を左右します。
- 結婚が周囲に認知されているか(親族の理解・友人の存在)
- 言葉の壁をどう越えているか
- 経済的に自立しているか(夫婦の収入バランス)
- 将来計画(日本での定住意志)
このように、「説明力」と「証拠力」を両立させることが大切です。
行政書士はこれらを整理し、文章化することで審査官に伝わる形に整えます。
5. 専門家に依頼するメリットと実際の成功パターン
不許可後の再申請を専門家に依頼すると、次のようなメリットがあります。
- 不許可理由を法的・実務的に分析
- 書類・説明文を再構成して提出
- 入管担当官への補足説明を正確に対応
実際の成功パターンでは、
- 「短期間婚」でも日常写真・家族証言を補強して許可
- 「経済不安」でも保証人を立て再申請成功
- 「別居中」でも合理的理由と連絡履歴で許可
一度不許可になっても、正しい手順で再申請すれば挽回できます。
まとめ
配偶者ビザ不許可は、決して“終わり”ではありません。
入管の視点を理解し、誠実に事実を立証すれば、許可を得ることは十分可能です。
再申請は「時間との勝負」でもあります。
感情的にならず、今ある証拠を整理し、行政書士に相談することで一歩ずつ前へ進みましょう。

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