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在留資格変更許可申請の手続き、どうする?外国人本人・企業担当者が最初に知っておくべき実務ポイント

外国人雇用・在留資格手続き

在留資格変更許可申請の手続き、どうする?
外国人本人・企業担当者が最初に知っておくべき実務ポイント

「在留資格を変更したいが、何から手を付ければいいのか分からない」
「外国人を採用したが、在留資格変更の手続きが不安」――そんな方へ。
本記事では、在留資格変更許可申請の全体像を、“結局どうする?”という視点で分かりやすく整理します。 外国人本人と企業担当者がそれぞれ何を準備し、どこでつまずきやすいか、実務目線で解説します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別事情により必要書類や判断が異なる場合があります。具体的な方針は状況に応じてご相談ください。

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在留資格変更許可申請の手続きはどうする?留学・家族滞在などから就労資格へ変更する際の流れ、必要書類、企業担当者が準備すべき資料、審査で見られるポイントを行政書士がわかりやすく解説。外国人本人・企業担当者向け。

コンテンツ

  1. 在留資格変更許可申請とは?まず押さえる基本
  2. 手続きの流れ|どうする?を時系列で解説
  3. 必要書類と準備の考え方(本人側・会社側)
  4. 審査ポイントと不許可を避けるコツ(追加資料対策)
  5. よくある質問(FAQ)と相談導線|内部リンクまとめ

1.在留資格変更許可申請とは?まず押さえる基本

(1)在留資格変更許可申請とは

在留資格変更許可申請とは、現在持っている在留資格から、別の在留資格へ変更するための手続きです。 日本で行う活動(仕事・学業・家族としての滞在など)は、在留資格ごとに許される範囲が決まっています。 そのため、活動内容が変わるときは「在留資格の変更」を検討する必要があります。

よくある変更の例
  • 在留資格「留学」 → 就労資格(多くは「技術・人文知識・国際業務」)
  • 在留資格「家族滞在」 → 就労資格
  • 就労資格 → 別の就労資格(職務内容・雇用条件の変化に伴う)

ここで非常に重要なのは、内定が出た/雇用契約を結んだ=自動的に就労できるではない、という点です。 変更許可が下りる前に、許可されていない活動をしてしまうと、将来の更新や変更に影響するおそれがあります。 企業担当者の方も、採用決定後は「入社日」「担当業務」「在留資格手続き」をセットで計画することが重要です。

(2)更新・認定(COE)との違い

在留資格に関する手続きは、目的によって大きく3つに分かれます。どれを選ぶかを間違えると、時間も手間も増えるため、まず整理しておきましょう。

変更許可申請
活動内容が変わるとき(留学→就労、家族滞在→就労など)。本記事のテーマです。
更新許可申請
在留資格は同じで、期間のみ延長したいとき(就労継続、留学継続など)。
認定証明書(COE)
海外在住の外国人を日本に呼び寄せるときの中心手続。採用形態によりこちらになることも。

(3)まず確認すべき3つのポイント

「手続き、どうする?」と迷ったら、まず次の3点を紙に書き出してください。ここが整理できると、必要書類・スケジュール・リスクが見えてきます。

  1. 現在の在留資格と在留期限(在留カードで確認)
  2. 変更後に行う活動(職務内容・配属・勤務形態)
  3. 学歴・専攻/職歴(仕事内容との関連性を説明できる材料)

とくに留学生の就職は「期限」と「関連性」の2点でつまずきやすいです。よくある相談は 留学→就労変更で多い相談(Q&A) にまとめています。

2.手続きの流れ|どうする?を時系列で解説

在留資格変更許可申請は、流れを把握してしまえば、やることが明確になります。 ここでは「外国人本人」と「企業担当者」それぞれが、いつ何をすべきかを時系列で整理します。

全体フロー(概要)
  1. 変更後の在留資格を決める(該当性チェック)
  2. 在留期限から逆算してスケジュール設計
  3. 必要書類の洗い出し(本人側・会社側)
  4. 申請書類の作成・整合性チェック
  5. 出入国在留管理庁へ申請
  6. 追加資料対応(必要な場合)
  7. 結果受領 → 入社・就労開始(または方針見直し)

ステップ① 変更後の在留資格を決める(最初にやる)

最初の分岐点は、どの在留資格に変更するのかです。留学→就労、家族滞在→就労などでは、 多くが「技術・人文知識・国際業務(技人国)」を検討しますが、職務内容によっては別の就労資格や、別の進め方を検討することもあります。

技人国の「要件」「審査ポイント」を先に押さえると、書類準備の方向性が決まります:
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件と審査ポイント

ステップ② 在留期限から逆算してスケジュールを立てる

「いつまでに何を用意するか」は、在留期限に引っ張られます。目安として在留期限の2~3か月前に準備開始できると安心です。 ただし、企業側資料の準備に時間がかかる(職務内容が固まらない、会社書類が揃わない)ケースもあるため、できれば「内定後すぐ」に動くのが安全です。

外国人本人がやること
  • 在留期限・現資格の確認
  • 学歴・専攻の資料(証明書)準備
  • 履歴書・職務経歴書の整理
  • 過去の在留状況(アルバイト等)確認
企業担当者がやること
  • 配属・担当業務の具体化
  • 雇用条件(契約・給与)の確定
  • 職務内容説明・雇用理由の作成
  • 会社資料(案内、決算等)の準備

ステップ③ 必要書類の洗い出し(本人側・会社側)

申請書類は「本人側」「会社側」の両輪です。どちらかが欠けると、審査が進みにくくなります。 次章で詳しく解説しますが、最初に“核になる資料”を把握しましょう。

ステップ④ 申請書類の作成・整合性チェック

実務で多いのは、書類そのものよりも「書類間の矛盾」でつまずくケースです。 例えば、職務内容説明では「企画業務」と書いているのに、雇用契約書の職務欄は「販売」になっている――こういったズレはリスクになります。 申請前に、会社資料・本人資料が同じストーリーになっているかを確認することが重要です。

ステップ⑤ 出入国在留管理庁へ申請 → 追加資料対応

申請は原則として外国人本人の住所地を管轄する出入国在留管理庁で行います。 申請後、追加資料を求められる場合もあります。追加資料が来たときは「何を疑問視されているか」を読み解き、短時間で矛盾なく補強することがポイントです。

3.必要書類と準備の考え方(本人側・会社側)

ここでは「何を用意すればいいのか」を、実務でよくある形で整理します。 ただし、申請類型(変更/認定/更新)、会社のカテゴリ、個別事情により必要書類が増減します。 そのため、この章は“最頻出の基本セット”としてお読みください。

(1)外国人本人側の主な書類

  • 在留資格変更許可申請書(内容の整合が重要)
  • パスポート・在留カード
  • 学歴関係:卒業証明書・成績証明書(専攻・履修内容を示す)
  • 職歴関係:履歴書・職務経歴書(職務内容を具体的に)
  • (留学生の場合)在学状況が分かる資料、卒業見込み等(状況に応じて)

本人側資料でポイントになるのは、単に「卒業した」ではなく、どんな学びを積み、業務で何ができるかが伝わることです。 とくに技人国を目指す場合は、専攻と仕事内容の関連性が最重要となるため、成績証明書や科目情報は、説明材料として大きな意味があります。

(2)会社側の主な書類(審査の核心)

  • 雇用契約書/内定通知書(給与・勤務時間・業務範囲)
  • 職務内容説明書(担当業務、役割、成果物、使用ツール等)
  • 雇用理由書(なぜこの人材が必要か、事業とどう結びつくか)
  • 会社案内・事業内容資料(何をしている会社かが伝わる資料)
  • 組織図・配属資料(どの部署で何をするか)
  • 決算書類等(カテゴリ・規模に応じて)

企業担当者の方へ:書類の中で最も重要なのは「職務内容説明」です。
「営業」「事務」など抽象的だと伝わりにくいため、誰に対して/何を使って(言語・ツール等)/何を成果物として出すかまで落とし込むと安定します。

(3)書類準備で“実際に困る”ポイント

実務でよくある「困りごと」を先に知っておくと、準備がスムーズになります。

配属・業務が固まらない
「入社後に決める」だと職務説明が抽象的になりがち。可能なら、研修→担当業務への段階を示して、専門業務への合理的なルートを作ります。
専攻との関連性が弱い
完全一致が必要とは限りませんが、“どう繋がるか”の説明が必要です。科目・制作物・職務経歴などを材料に、業務で活きる点を文章化します。
会社資料の整合が取れない
会社案内・求人票・契約書・職務説明の内容がバラバラだと追加資料の原因になりやすいです。申請前に“同じストーリー”に整えます。

4.審査ポイントと不許可を避けるコツ(追加資料対策)

在留資格変更許可申請で重要なのは、「書類を揃える」だけではなく、審査官に矛盾なく伝わる状態にすることです。 ここでは、特にトラブルが多いポイントを、外国人本人・企業担当者の双方の目線で整理します。

ポイント① 学歴・職歴と仕事内容の関連性

とくに就労資格(技人国など)への変更では、学んだこと(または経験)と、行う仕事のつながりが重要です。 「専攻=職務が完全一致」までは不要なケースもありますが、説明ができないと弱くなるというのが実務感覚です。

関連性の作り方(例)
  • 履修科目 → 実務で使うスキル(具体例)
  • 卒業研究・制作物 → 会社で担当する役割
  • 職務経歴 → 入社後の担当領域(専門性の連続性)

ポイント② 業務内容の具体性(“職種名”ではなく“中身”)

入管は「肩書」よりも実際に何をするかを見ます。 「営業」「企画」「事務」だけでは抽象的なので、最低でも次の3点を明確にしましょう。

  1. 誰に対して(顧客層・担当エリア・社内外の相手)
  2. 何を使って(言語、ツール、分析手法、専門知識)
  3. 何を成果物として出すか(提案書、分析レポート、仕様書、運用設計等)

ポイント③ 企業側資料の説得力(雇用理由・職務内容説明)

会社側資料が弱いと、追加資料や不許可リスクが上がります。コツは、会社の事業と、本人の役割が一本のストーリーになること。 「なぜこの人材が必要か」「どんな成果が期待されるか」を、事業内容と接続して説明します。

ポイント④ 追加資料(補正)が来たときの考え方

追加資料=即不利、ではありません。ただし、提出資料だけでは疑問点が残っている状態です。 追加資料が来たら「何を疑問視されているか」を読み解き、短く・具体的に・矛盾なく補強することが重要です。 ここで説明が弱いと不利になりやすいので、追加資料対応は“最重要局面”と考えてください。

留学→就労変更の「つまずきやすい点」は、Q&A形式でこちらにまとめています:
留学→就労変更で多い相談(/soudan)

5.よくある質問(FAQ)と相談導線|内部リンクまとめ

最後に、外国人本人・企業担当者からよくいただく質問を整理します。 「自分のケースが当てはまるか不安」「期限が近い」「職務内容が微妙と言われた」などは、早めの相談が安全です。

Q1. 在留資格変更許可申請は自分でできますか?
A. 制度上は可能です。ただし実務では「どこを説明すべきか」が分からず、追加資料になったり、書類間の矛盾で不利になるケースがあります。 不安がある方は、申請前に要点を整理すると安全です。
Q2. 会社が小さいと不利ですか?
A. 規模だけで決まるものではありません。事業内容・職務の専門性・雇用の合理性が説明できれば対応できるケースもあります。 ただし資料が薄いと疑問が残りやすいので、会社側資料の作り込みが重要です。
Q3. 期限が近い/卒業・入社が迫っている場合は?
A. まず「期限内に必要資料が揃うか」を現実的に判断します。状況により、 在留期間更新許可申請 の検討が必要になることもあります。期限が近いほど選択肢が減るため、早めにご相談ください。
Q4. 技人国で“関連性が弱い”と言われました。どうする?
A. 多くの場合、関連性そのものよりも「説明材料が不足している」ケースがあります。 履修科目・制作物・職務経歴・研修計画などを材料に、業務へどう繋がるかを具体化します。 詳細は 技人国の要件と審査ポイント をご参照ください。

迷ったら「申請前の相談」が一番安全です

在留資格変更許可申請は、申請後に「説明の方向性」を大きく変えるのが難しい手続きです。
申請前に、該当性(どの在留資格に当てはまるか)/必要書類/会社側資料の整合性/期限を整理しておくと、 追加資料や不許可リスクを減らしやすくなります。

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